タヌキおやじの日々の生活 諜報・防諜関連     

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春原剛「誕生国産スパイ衛星―独自情報網と日米同盟」を読破!!



日本が情報収集衛星をもっていることは、今では当たり前のことになっているが、これは、北朝鮮のミサイル実験に触発されて、打ち上げられたものであった。
その情報収集衛星の打ち上げの経緯について書かれた本である。

内容の紹介(カバーより引用)
『北朝鮮の核・ミサイル問題、中国原潜の領海侵犯・・・・。
激動の国際情勢の中で打ち上げられた「国産スパイ衛星」の機密を暴く!
◎なぜ日本はアメリカの反対を押し切って、独自情報網の構築に手を染めたのか?
◎2500億円超の巨費を投じ、自主開発にこだわった理由は?
◎衛星の能力は、ミサイル発射を監視できるレベルに達しているのか?
◎政府が主張する「多目的な情報収集」に衛星は使われているのか?
 それとも単なる「スパイ衛星」か?
◎衛星から送られてきた写真がまったく公開されないのはなぜか?
◎誰が、どうやって、国民的議論の無いままにスパイ衛星を打ち上げたのか?
◎日米の同盟関係にどのような影響を及ぼすのか?
◎米軍変革に日本のスパイ衛星が果たす役割とは?
   ---など、貴重な証言多数。』

目次
第一章 テポドン・ショック
第二章 二つのアメリカ
第三章 国産断念?
第四章 官邸の決意
第五章 オール・ジャパンの虚実
第六章 予期せぬ難関
第七章 天空へ
第八章 岐路に立つ国産スパイ衛星
あとがき
付録 大野功統・防衛庁長官に聞く
    町村信孝・外務大臣に聞く
    自民党政務調査会「情報収集衛星導入についての提言」
    安倍・防衛懇の報告書(要旨)

アメリカが日本に持たせてはいけないと考えていたものが、核兵器と航空母艦と偵察衛星であったそうな。
アメリカは、核兵器については、今日においても、イラン、北朝鮮に対して厳しい姿勢でのぞんでいる。
また、航空母艦については、やはり、日本海軍の空母機動部隊がアメリカ海軍を苦しめたことを覚えているのであろうか。
しかし、これについても、最近は、容認に傾いているのではないかと思われる。
なぜなら、海上自衛隊は、最近、実質上のヘリ空母を三隻、建造したからである。
ゆくゆくは、海自は軽空母を保有することを考えているのであろうと思う。
偵察衛星については、2003年から打ち上げが始まり、四基の偵察衛星が軌道を周回するようになった。
管理人も当時は、なぜ偵察衛星を所有する必要があるのか分からなかったが、情報をアメリカに頼っていると、アメリカに都合のよいように情報の渡し方を操作されるということらしい。
要するに、自分で情報を持っていないばかりにアメリカの言いなりになってしまうと。
アメリカから情報を渡されるとき、日本側は、外務省、警察庁公安部、防衛庁(現在は防衛省)、公安調査庁、内閣情報調査室とばらばらに渡され、しかも、日本側がアメリカの都合のよいように動くように渡されるとのことであった。
そのため、ノドンが試射される前から、日本側では極秘裏に偵察衛星の保有をもくろんでいた。
そして、ノドンが試射されることを利用して偵察衛星の保有を本格的に検討し始めた。
管理人は、当時は、泥縄的に偵察衛星という話になったのかと思っていたが、そのようなわけではなかったようだ。
偵察衛星の保有を検討し始めた時、一番初めの難関がアメリカであった。
ここらへんは、やはり日本が独立国家ではなく、アメリカの従属国であると言われてしまう一因なのかと思う。
アメリカ側は、日本にアメリカ製の偵察衛星を購入させたいと思い、日本側は、国産偵察衛星を打ち上げたいと考えた。
そのようなわけで、日本では、米国製にするか、国産にするかで議論があったわけである。
米国製を輸入すると、偵察衛星の運用において、制限をかけられてしまう可能性があるが、費用が半額以下で済む。
日本製にすると、制限がないし、国内メーカーの技術開発につながったり、金を国内に落とすことができるが、性能面でかなり米国製より劣るし、費用がかなり高くなるというデメリットがあった。
最終的には、落としどころとして、米国製の部品を一部輸入して、国産で衛星を開発することになったわけだ。
米国側は、アメリカの領土は、偵察しないという制限をつけようとしたが、そのあたりは曖昧な表現で濁したとのことである。
将来的に、揉める原因となる可能性がないわけではないが、そもそも、アメリカ国土を偵察したということがアメリカに分かるであろうか?
打ち上げてみると、様々な事故があったり、不具合があったのは周知の事実である。
これは、ある程度、仕方がないといえよう。
他書で読んだが、宇宙開発評論家の松浦晋也氏は、現在では、すべての人工衛星の軌道が公開されているということで、日本の偵察衛星の軌道も公然となることを政府は知らなかったと述べている。
それを知って慌てて人工衛星の軌道を公開しているサイトにその情報を消させたと。。。。
偵察衛星の軌道がわかっていれば、衛星が上空に来た時だけ、気を付けて、偵察対象のものを隠せばよいからである。
また、松浦氏は、宇宙科学探査を応援する立場にいるので、偵察衛星の開発がそれの予算を圧迫しているとして批判的に述べていた。
ここらへんも、よくよく考える必要があるのだろうなあと思う。
まあ、政府内でものごとがどのように決まるかが分かって面白い一冊であると思う。

自分の評価
★★★★☆70点

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小谷賢「イギリスの情報外交―インテリジェンスとは何か」を読破!!

イギリスの情報外交 インテリジェンスとは何か (PHP新書)イギリスの情報外交 インテリジェンスとは何か (PHP新書)
(2004/11/16)
小谷 賢

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イギリスのインテリジェンスを使った外交を書いた本である。
はじめに、インテリジェンスのイロハを書き、次に、イギリスの情報機関の機構について書き、それ以降は、第二次世界大戦の日英戦以前の対日外交について書く。
まあ、小谷賢氏の著作は、はずれがない感じだ。
本作も、非常に読みごたえがある内容であった。
この人は、今は、防衛省防衛研究所にいるみたいだ。
この人の著作が、もっと広まればよいと思った次第。

内容の紹介(カバーより引用)
『老練なイギリス外交の背後には、常にインテリジェンス活動があった。
古くは16世紀のエリザベス王朝の時代に始まり、20世紀初頭に活動を開始したMI6は世界中に名を馳せた。
そしてチャーチル首相は、毎日のように届けられる暗号解読情報を、「私の金の卵」と呼び重宝したのだ。
本書は、近年公開された20世紀前半のイギリス情報関連史料をもとに、1940年代のイギリスが、対日極東政策を推し進めるにあたって、インテリジェンスをいかに活用し、外交成果に結実させたのかを明らかにする。』

目次
まえがき
第一章 インテリジェンスとは何か
第二章 イギリスの対日情報活動
第三章 情報分析から利用までの流れ
第四章 危機の高まり―――日本の南進と三国同盟
 一 ビルマ・ルート問題 二 日本の北部仏印進駐
第五章 危機の頂点―――1941年2月極東危機
 一 イギリス極東戦略最大の危機 二 インテリジェンスの問題とその解決
第六章 危機の緩和と英米の齟齬
 一 松岡の訪欧 二 イギリスと日米交渉
第七章 危機の回避―――日本軍の南部仏印進駐
 一 イギリスの情報収集と分析 二 英米による共同制裁の発動
第八章 イギリス外交の硬直化と戦争への道
 一 対日経済制裁から大西洋憲章へ 二 イギリス外務省の対日強硬策
 三 戦争への道 四 むすび
あとがき

アメリカの第二次世界大戦参戦前は、イギリスはダンケルクから撤退し、本土防空戦を戦い、劣勢であった。
だから、極東で日本に参戦され、シンガポールなどの英植民地を攻撃されると困る状態であった。
ドイツと日本を相手にする両面作戦を余儀なくされるからだ。
イギリスにとっての最悪のパターンは、イギリスのみと日本、ドイツとが戦うことであり、最良が、イギリス、アメリカとドイツとが戦うことであった。
それらを含む4パターンを想定していたようだ。
そのようなわけで、チャーチルは、アメリカを参戦させることに最大限の努力を払った。
そして、アメリカが参戦する前に、日本と交戦状態になることを避けるための外交努力を行った。
まあ、要するに日本が宣戦するのを先延ばししようとしたわけである。
1940年、1941年はじめにおいて、米英はかならずしも一枚岩ではなかったようだ。
本書を読む限り、かなりの齟齬を感じる。
また、極東におけるイギリスのヒューミントは、あまり優秀ではなかったようだ。
おそらく、対独に集中して、資源を割けなかったものと思われる。
しかし、イギリスは、日本外務省の暗号を解読しており、この情報はBJ情報と呼ばれた。
このBJ情報をフルに活用して、イギリスは対日外交を行った。
日本政府とイギリス政府のやりとりが詳細に書かれている。
まあ、本書を読む限り、日本の外務省は、かなり甘いとしか言いようがない。
国同士のやりとりとは、こうも厳しいものかと思わされる一著であった。

自分の評価
★★★★☆80点

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岡部伸「消えたヤルタ密約緊急電―情報士官・小野寺信の孤独な戦い」を読破!!

消えたヤルタ密約緊急電―情報士官・小野寺信の孤独な戦い―(新潮選書)消えたヤルタ密約緊急電―情報士官・小野寺信の孤独な戦い―(新潮選書)
(2013/02/22)
岡部伸

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それほど有名ではないと思うが、小野寺信(おのでら まこと、1897年~1987年)とは、日本陸軍の軍人であり、最終階級は少将であった人である。
北欧や上海でインテリジェンス活動に従事した。
主な業績は、ヤルタ会談での密約であるソ連の対日参戦の情報を入手し、日本の参謀本部に送ったことと、スウェーデン王室を介した終戦工作を行ったことであった。
外務省の杉原千畝と同じく優れたインテリジェンス・オフィサーであったが、杉原と同じく彼が入手した情報は、日本ではあまり活かされなかった。
まあ、日本ではよくある例であるような気がする。

内容の紹介(カバーより引用)
『日本を滅亡から救え
―――小野寺は欧州諜報網をフル稼働させた。
同法の無理解を超えて独ソ戦を予言し、対米参戦の無謀を説き、王室を仲介とする和平工作に砕身した小野寺信。
大戦末期、彼は近代史上最大級の「ヤルタ密約」を掴み、ソ連の日本参戦情報を打電する。
ユダヤ系諜報網から得た正確無比なオノデラ電は、しかし我が国中枢の手で握り潰された。
欧米を震撼させた不世出の情報士官の戦果と無念を完全スクープ!』

目次
第1章 日本が世界地図から消える!?―――ヤルタ密約情報は届いたか
 1 消えたヤルタ密約電報 2 「奥の院」が握りつぶす 3 学者のような情報士官
第2章 和平工作の予行演習―――任地がその運命を決めた
 1 欧州情報の交差点―――リガ時代
 2 対中和平をはかる―――上海時代
第3章 ドイツが最も恐れた男―――同盟国の欺瞞工作を暴く
 1 ただ独り独ソ開戦を予告 2 ポーランド地下情報網が最大の鍵 3 すべてはオノデラの人間的魅力から
第4章 日米開戦は不可なり―――北欧の都からの冷徹な眼
 1 ヒトラーに幻惑されて日米開戦へ 2 鉄壁の情報網完成す
第5章 ヤルタ密約情報来たる―――存亡をかけたインテリジェンス
 1 近代史上最大級の情報 2 新兵器情報―――原爆とジェット機
第6章 間に合った「国体護持」情報―――8月14日にそれは届いた
 1 敗北迫るドイツ、そして終戦工作へ
 2 君主国から皇室へ―――スウェーデン王室は動いた
第7章 対ソ幻想の謎を解く―――天皇の意思を曲解した人々
 1 モスクワへの「密使」 2 初めにソ連仲介論ありき
 3 スターリンのリアリズム 4 国を挙げてのソビエト幻想
 5 かき消された「不都合な真実」
略年表
あとがき
解説 佐藤優

小野寺の欧州での情報源は、おもにエストニア軍参謀本部情報部と、ポーランド軍参謀本部情報部であった。
エストニアもポーランドもドイツやソ連に占領されて、それらの政府は亡命し、その情報部は地下に潜伏したのだが、彼らを白系ロシア人などに偽装させて匿ったのが、日本陸軍であった。
エストニアは、バルト三国のなかでも、アジア系のウラル語族であり、親日的であり、ポーランドは、日露戦争から日本陸軍と情報関係で協力関係にあった。
一見すると、日本は、ドイツと同盟関係にあるので、彼らを匿うのは不利益を被るのではないかと思えるが、その裏には、複雑怪奇な国際情勢があった。
ここらへんは、国際情勢というものの非常に面白いところである。
ポーランドやエストニアの地下情報網と協力できたのは、小野寺の魅力と能力であったと著者は言っている。
でも、参戦するなという情報を無視され、ソ連がドイツ降伏三か月後に参戦するという情報も無視され、スウェーデン王室を介した終戦工作もあまり活用されずと、どうも日本の首脳陣は、有能なインテリジェンスオフィサーを十二分に活用できたとは言い難い。
おもしろいのは、中立国であったスウェーデン、スイス、スペインなどは、枢軸国と連合国間の壮絶なスパイ戦の舞台であったということだ。
スウェーデン、スイス、スペインの公使や武官は、それぞれ、いろんな工作を連合国側に対して行っている。
スペインの日本の公使は、アメリカにスパイを送り込むというようなことも行っていたらしい。
しかし、首脳部がそれらを活用しきったとはいいがたいようだ。
小野寺の工作や情報網は、ドイツの防諜部にとっては、目の上のたんこぶであったようだ。
小野寺にドイツ防諜部、アプヴェールは、何度も警告をしているが、小野寺は、ポーランド軍人のリビコフスキーをかばい続けている。
大戦末期には、ドイツ情報部との協力もあったようだ。
小野寺が入手した連合国のマーケットガーデン作戦の情報をドイツに知らせたりしたらしい。
ドイツは、その情報を活かしたかどうかは定かではないが、マーケットガーデン作戦を失敗に終わらせている。
ここらへんも、亡命ポーランド政府が得た情報を日本が入手して、ドイツに渡したり、亡命ポーランド政府が得た情報をイギリスに渡したりと、国際関係はまことに複雑怪奇である。
連合国側は一枚岩であるようで、微妙に隙間があって、亡命ポーランド政府は、その都合で動いているのである。
どのように欧州において日本がインテリジェンス活動を行ったか知る上で良著であると思われる。  
また、これから日本がどのようにさまざまな情報を得て、将来に役立てていくかということを考える上でも良著であると思われる。

自分の評価
★★★★☆85点

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白石仁章「諜報の天才 杉原千畝」

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白石仁章「諜報の天才 杉原千畝」を読破!!

諜報の天才 杉原千畝(新潮選書)諜報の天才 杉原千畝(新潮選書)
(2011/08/12)
白石 仁章

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「日本のシンドラー」として戦中にユダヤ人を救ったことで有名な杉原千畝のインテリジェンス・オフィサーとしての側面を書いた本である。
ちなみに、杉原千畝(1900年~1986年)とは、日本の官僚、外交官である。
知ってる人は知ってると思う。
本書でのインテリジェンス・オフィサーの定義とは、情報ないしは諜報活動にたずさわる者だそうな。
真のインテリジェンス活動とは、ジェームズ・ボンドのような人物ではなく、地道に情報網を構築し、その網にかかった情報を精査して、未来を予測していく、そしてさらに一歩踏み込んで、予想される未来において最善な道を模索することと書いている。
満州や東欧における対ソ情報の取得が杉原の主な任務であった。
この人が、単なる人道主義者というだけでなく、きわめて優れた外交官、インテリジェンスオフィサーであったことが本書からわかる。

内容の紹介(カバー裏面より引用)
『「命のビザ」は類稀な外交官のインテリジェンスの賜物だった!
国難をいち早く察知する驚異の諜報能力。
この男にソ連は震えあがり、ユダヤ系情報ネットワークは危険を顧みず献身した―――。
日本の「耳」として戦火のヨーロッパを駆けずり回った情報士官の、失われたジグゾーパズル。
ミステリアスな外交電報の山にメスを入れ、厖大なピースを70年ぶりに完成させた本邦初の快挙。
日本が忘れ去った英知の凡てがここにある。』

目次
プロローグ 杉原の耳は長かった
第一章 インテリジェンス・オフィサー誕生す
第二章 満州国外交部と北満鉄道譲渡交渉
第三章 ソ連入国拒否という謎
第四章 バルト海のほとりへ
第五章 リトアニア諜報網
第六章 「命のヴィザ」の謎に迫る
第七章 凄腕外交官の真骨頂
エピローグ インテリジェンス・オフィサーの無念
おわりに

この人の外交官デビューは、満州国外交部であった。
そして、その名を高めたのが、ソ連からの北満鉄道譲渡交渉であった。
杉原は、白系ロシア人の情報網を活用して、ソ連側の情報を取得し、交渉を有利に進めた。
当時、満州には、共産党革命からソ連から亡命してきたロシア人が多数住んでいて、彼らを赤系ロシア人と区別して白系ロシア人と呼んだ。
杉原の最初の妻も白系ロシア人であった。
ソ連側は、杉原がどのように情報を得ているか分からず、杉原に少なからず恐怖を感じたようだ。
その結果、ソ連側は、のちに杉原をペルソナノングラータ(好ましからざる人物)として、在ソ連の日本大使館に赴任するために杉原がソ連に入国することを拒んだ。
しかし、それらの活躍にもかかわらず、杉原は、日本陸軍軍人の専横などに嫌気がさして、満州国外交部を退くことになる。
それから、ソ連への赴任をソ連側から拒絶された後は、リトアニアを中心に東欧で諜報活動に携わった。
おもしろいのは、ポーランド軍諜報部との協力である。
ポーランドは、大国ソ連とドイツの間に挟まれていたので、諜報活動に力を入れており、特にその暗号解読技術には一目置かれていた。
日本軍が暗号技術を学んだのも、ポーランド側の指導によるものが大きかったようだ。
杉原や陸軍大佐小野寺信は、ポーランドがドイツに占領された後も地下に潜伏したポーランド軍諜報部と協力関係を持った。
ここらへんは、一筋縄に行かない国際情勢というものを実感させられる。
対照的なのが、陸軍の大島浩中将である。
この人は、ドイツの日本大使を務めたのだが、ナチスドイツを信奉しすぎて、ドイツびいきの情報を流し続け、国を誤る一因となった。
何事も過信はいけないという一例かと思う。
戦争末期には、杉原や小野寺はヤルタ会談の情報を入手して、日本に送るが、これも活用されなかったようである。
小野寺信のほうは、皇道派と目されていたので、中央に居させてもらえなかったのだが、杉原氏にしろ小野寺氏にしろ、当時の日本政府や軍が優秀な人材を活用することなく終わってしまった例といってよいだろう。

本書であるが、ユダヤ人を救った人道主義者としてとらえられる杉原千畝のインテリジェンスオフィサーとしての側面を評価した書として面白く読めると思う。

自分の評価
★★★★☆80点

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岡部伸「消えたヤルタ密約緊急電―情報士官・小野寺信の孤独な戦い」

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青木理「北朝鮮に潜入せよ」を読破!!

北朝鮮に潜入せよ (講談社現代新書)北朝鮮に潜入せよ (講談社現代新書)
(2006/04/19)
青木 理

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以前読んだ「日本の公安警察」が面白かったので、本書を読んでみた。
凄まじい内容であった。
「日本の公安警察」がかわいく思えるくらいの凄まじさだ。
韓国がかつて行った北朝鮮への工作員潜入工作について書いた本である。
北朝鮮が韓国や日本に工作員を潜入させているのは周知の事実だが、韓国がかつて北朝鮮に工作員を送り込んでいたのは、日本ではあまり知られていない。
CIAが大戦後に東欧に工作員を大量に落下傘降下で送り込んで、9割がた失敗したというのは、「CIA秘録」に載っていたが、韓国の工作員潜入工作はそれを越える悲惨さであった。

内容の紹介(カバーより引用)
『訓練から潜入へ
訓練内容もやはり驚くほど多岐にわたる。
山岳踏破、読図法、射撃、テコンドー、護身術、特攻武術、開錠術、モールス信号などの通信技術、民心掌握術、窃盗や爆破の訓練・・・。
「こうした訓練を継続、反復して受ける。中でも最も重要なのは山岳踏破と爆破だった」
何かあったら自爆しろという「洗脳教育」も徹底して行われた。
・・・最初に与えられた任務は「拉致」だった。―――本書より』

目次
プロローグ―――軍事境界線を越えた工作員・金正植の証言
1章 存在を消された「特攻兵士」
 1 「国家機密」のベール、 2 北派工作の時代別背景
2章 潜入工作の開始
 1 一期生の証言、 2 陰地の兵士
3章 工作の全貌―――スカウトから訓練、潜入、除隊後まで
 1 牧場のブタ、2 守られない「約束」、3 国家のため
4章 潜入工作の周辺まで
 1 詩人の記憶、2 漁民工作員の孤独、3 30年の逃亡者
5章 実尾島事件の真実
 1 青瓦台襲撃、2 孤島の三十一人、3 悲劇の兄弟、4 事件の陰で
6章 北朝鮮の韓国潜入工作
 1 鉄条網をくぐり抜けて、2 陸路から海路へ、3 非転向長期囚の悲哀
7章 今も続く秘密工作
 1 潜入工作なき養成、2 政治謀略への流用、3 大物工作員「黒金星」
終章 癒えない傷
 1 補償に向けて、2 今も北の地で
あとがき

韓国の北朝鮮潜入工作は、朝鮮戦争後から1970年代まで続けられたようだ。
それらの一連の工作で帰ってこなかった人々は、1万人を超えるとのことであった。
担当した部署は、KCIAと陸海空軍の情報部である。
経路は、38度線を越えて潜入する場合と、漁船を偽装して拿捕されたと見せかけて敵情を偵察する場合とがあったみたいだ。
朝鮮戦争の直後は、共産主義を嫌って北朝鮮から韓国に逃れてきた人々を工作員として使い、60年代からは、社会の貧困層やあぶれた人々を金銭でスカウトして使った。
人間性を失ってしまうほどの訓練の後に潜入工作に従事し、ほとんどが帰ってこず、帰ってきた者も約束の待遇や金銭は与えられず、軍や情報部の監視下に置かれ、苦しい生活を強いられたり、精神的に変調をきたしたりする人がいた。
まあ、使い捨てみたいなことをしたわけである。
こういう感じであると、ベトナム戦争で送り込まれた韓国軍がベトナムの民衆を相手に残虐行為に及ぶわけだなあと納得した。
ともあれ、北朝鮮も韓国も似たようなことをやっているわけである。
ただ違うのは、北朝鮮は、比較的、上流階級の人々を使ったのに対し、韓国は、社会をあぶれた人々を使ったという点である。
映画「シルミド」は日本でも話題になったが、韓国軍が養成した囚人たちによる特殊部隊が反乱を起こすという実話を基にした映画であった。
実際は、囚人ではないが、社会からあぶれた人々であったらしい。
青瓦台襲撃事件という北朝鮮コマンドによる朴正煕大統領暗殺未遂事件が、かつてあった。
その報復として、朴大統領が金日成を暗殺させるべく、実尾島(シルミド)で特殊部隊を結成させ、非人道的な訓練を施した。
その後、南北融和によって作戦は行われないことになったが、実尾島の特殊部隊は作戦中止と苛酷な訓練と待遇の悪化によって暴発してしまう。
つまり反乱を起こしたと。。。。
朴大統領というと、今の韓国大統領の父親で、漢江の奇跡を起こした人物として、日本陸軍士官学校出身者として、日本では好意的に受け取られている。
ただし、娘の今の大統領は、まるでアホみたいだが。。。。
しかし、まあ、この人も、本書を読めばわかるが、コワイ人である。
経歴からでも、ふつうの人ではなくて、アブナイ人であるのは分かるが。。。
ロシアのプーチンと同じ種類のコワさを感じる。

また、これらの部隊が政権維持のために使用された例を挙げて、著者の青木氏は、情報機関なるものに多少否定的な考えをもっているようであった。
これは、「日本の公安警察」で公安に対しても同様に否定的であったと思う。
我輩は、国のトップが判断を下す時に、正しい情報を掴んでいた方が、国を正しい方向に導く可能性が高いと思うので、最低限の情報機関は必要ではないかと思うのだが、青木氏がそのように考えるのも一理あるし、現実を知っている人の意見は反対意見であっても聞くべきであると思う。
著者の青木氏は、韓国留学経験やジャーナリストとしての韓国特派員経験、日本の警視庁警備・公安担当経験があるから、実情を見ているのだろうと思う。
日本においては、脱原発にしろ、特定秘密情報保護法にしろ、イメージとか感情で判断して、中身をよく精査しないで反対している人が多いと感じる。
そういう意味で、本書の著者は、中身を分かったうえで否定的に捉えているのだと思う。
ただ、著者は、朝鮮半島の分断状態は、敗戦前に統治していた日本にも責任があると述べているが、そこまで日本が責任を負うべきではないと思う。
ともあれ、日本人が大戦中に経験したが、今は完全に忘れ去ってしまった極限状態というやつが、半島では、その後、あって、今でもかなりあるということが分かる一著であると思う。

自分の評価
★★★★☆80点

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青木理「日本の公安警察」を読破!!
ティム・ワイナー著「CIA秘録 その誕生から今日まで」上下巻を読破!!

参考
シルミド/SILMIDO [DVD]シルミド/SILMIDO [DVD]
(2006/06/23)
ソル・ギョング、アン・ソンギ 他

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関東育ちの三十路親父です。
今は、関東に住んでいます。
現在、日本百名城攻略中!!
座右の銘は、
「はやきこと風の如く、
 静かなること林の如し、
 攻めること火の如く、
 動かざること山の如し」。
よろしくです。
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