タヌキおやじの日々の生活 有馬哲夫『「スイス諜報網」の日米終戦工作: ポツダム宣言はなぜ受けいれられたか』を読破!!     

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有馬哲夫『「スイス諜報網」の日米終戦工作: ポツダム宣言はなぜ受けいれられたか』を読破!!


太平洋戦争敗戦前になると、さまざまなルートから講和のはたらきかけがなされた。
特に中立国に滞在する、外務省や軍人や情報機関の人間によって、それはなされた。
スウェーデンでなされた終戦工作については、以前、何かの本で読んだが、本書は、スイスで行われた終戦工作について書いている。
中立国における日本の諜報活動についてはよくは知らないが、バルト三国、スウェーデン、スイス、スペインにおいては、日本は活発な諜報活動を行っていたようだ。
これも、以前、何かの本で読んだが、中立国であったスペインを介して、アメリカ国内にスパイを送り込むということも行っていたらしい。
ただ、目覚ましい成果というほどのものはなかったようだが。。。

目次
まえがき―本書のテーマと視点
第一部 藤村神話の崩壊
 第一章 ドラマ版「藤村ストーリー」の真偽
 第二章 ほころびだらけの「痛恨!ダレス第一電」
 第三章 「第一電」は終戦に貢献したか
第二部 スイスの終戦工作、70年目の真実を検証する
 第四章 1944年までのインテリジェンス・ネットワーク形成
 第五章 対日終戦工作と並行して行われた対独終戦工作
 第六章 グルーの対トルーマン工作
 第七章 トルーマンに無条件降伏方針を破棄させよ
 第八章 ポツダム会議をめぐる攻防
 第九章 ポツダム宣言受諾コミュニケーション
エピローグ―終戦から戦後へ
スイスの終戦工作年表
あとがき

当時、スイスには、アメリカのOSS(戦略情報局、CIAの前身)のスイス支局長、アレン・ダラスがいた。
この人は、のちにCIAのトップになる超大物である。
そして、日本側は、西原海軍大佐、藤村海軍中佐などが駐在しており、1945年5月ぐらいからスイスのOSS局員との接触がはじめられた。
スイスにおいては、アメリカと日本との直接的な講和に関する接触であった。
スウェーデンでは、王室が仲介しようとしたり、また、日本本国では、ソ連を仲介した講和を望んでいたりした。
さまざまな経路から講和の打診がなされていたが、日本の首脳部は、アメリカが打診してきた条件が無条件降伏であったので、それよりも条件が良いと思われたソ連を仲介とした講和に期待をかけた。
ここらへんまでは、かなり知られている事実である。
スイスを介した講和への駆け引きがポツダム宣言にどのように影響を与えたかを本書は指摘している。
日本の首脳部が、重要視したのは、国体の護持、つまり、天皇制を残すということであった。
現在の日本人とくらべて、その当時の日本人は、ずっと天皇制に対する思いが強かったわけである。
なかなか当時の空気みたいなものはわからないので、想像するしかないのであるが。。。
そのようなわけで、天皇制についての条件が日米の争点であったようだ。
後からの認識では、天皇制について戦後も認めるという条件を付ければ、原爆投下とソ連開戦がなくても、もっと早く戦争終結をすることができたと米側は考えているらしい。
スイスにおける終戦工作において、アメリカ側も様々な紆余屈折があり、天皇制について認めるという条件を出したり、引っ込めたりと迷走が続いた。
日本側も、ソ連を仲介とした講和に本命を置いていたので、スイスにおける終戦工作は重視していなかった。
結局、スイスとは別ルートのポツダム宣言を受諾するわけである。
ポツダム宣言は、無条件降伏であり、当然、天皇制についての言及はない。
しかし、スイスにおける終戦工作において、日本側は、アメリカ側から天皇についての戦争責任は問わないという言質を得ていた。
そのため、日本側がポツダム宣言受諾する気になったと本書は述べている。
スイスの駐在武官は、もともとは、スイスとドイツの軍事技術情報を日本に送ることを任務としていた。
そのために、反ナチスで投獄されそうになったところを助けたドイツ人ハックを使って、情報活動を行おうとしていた。
しかし、この人物は、アメリカのOSS側にも人脈を持っており、その一方で日本側にも恩義を感じていたので、どちらにもつかず、終戦が近づくにつれ、講和のために動き出す。
これが、スイスにおける終戦工作であった。
何につけても、人間関係が重要であるということを本書を読むとよくわかる。
自分の国の中だけであると、異文化とかの知識が不必要なわけであるが、他国であると、その国の言語を話せないとならないし、また、その国の文化を知らなければ、その国の人間の行動を知ることができない。
まあ、どのように国際政治が進められるかを知るうえで良書と思う。

自分の評価
★★★★☆70点

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