タヌキおやじの日々の生活 湯浅博「歴史に消えた参謀 吉田茂の軍事顧問 辰巳栄一」を読破!!     

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湯浅博「歴史に消えた参謀 吉田茂の軍事顧問 辰巳栄一」を読破!!


あまり世間では知られていないが、戦後の首相吉田茂の軍事顧問であった辰巳栄一中将の伝記といってよいだろうか。
この人は、陸軍大学を出た秀才であったものの、基本的に情報畑を歩み、太平洋戦争における戦場経験としては、最後に中国戦線で師団長を務めただけである。
イギリスの駐在武官を長く勤めていたので、三国同盟には強力に反対していた。
管理人の主観では、ドイツの駐在武官は、ドイツ贔屓になって、三国同盟支持派になり、英米の駐在武官は、反対派になっている印象がある。
この人も、その例にもれずに、三国同盟反対派となっていると。。。
辰巳がイギリス駐在は、1937年から日英開戦までで、1942年7月に交換船で帰国している。
当然、バトルブリテンなども間近で見ており、チャーチルの指導力を高く評価していたようだ。
また、吉田茂をはじめとして日本の英米派と親しくなったのもこのころの辰巳の人脈を広げるのに役立った。
日英開戦までは、チャーチルは、なるべく、日本がイギリスに開戦するのを防ごうとした。
イギリスがドイツ、日本の両方を一度に相手にすることを嫌がったためである。
そのためか、チャーチルは、日本大使館の主催するパーティーなどには積極的に出席している。
イギリスにとって最悪なのは、一国でドイツ、日本を相手にすることであり、最良は、イギリスとアメリカの二国でドイツ、日本を相手にすることであった。
実際そうなったので、イギリス、チャーチルの思惑通りであったと言ってよいだろう。
チャーチルの誤算は、日本軍の戦力を過小評価したことであったが、これは、誤差の範囲であり、挽回不可能なものではなかった。
太平洋戦争における辰巳の行動は、そんなに特筆するものでもないようだ。
本土の東部軍参謀長のあとに、中国戦線での師団長を務めて、敗戦を迎える。
辰巳の真の活躍の場は、戦後にあったといってよいかもしれない。
吉田茂の影の参謀として、GHQと折衝することになったからである。
GHQ占領下の日本では、参謀局民政課(GS)と参謀局二課(G2)の権力争いが激しかったらしい。
GSの方は、弁護士出身が多かったのであろうか、日本で様々な新しい政策を試そうとした。
また、戦争放棄をうたった憲法を日本に押し付けたのもGSであった。
その一方、辰巳や服部卓四郎を評価して、日本に再軍備させ、共産圏からの防波堤に使用とするのが、ウィロビー少将率いるG2であった。
辰巳は、ウィロビーと懇意になり、どちらかというとGSと対立勢力であった。
そして、辰巳のボスの吉田茂は、はじめは、軽軍備として、経済発展を優先させる意見を持ち、辰巳たちの手綱を引く立場であった。
ウィロビーと協力関係にあった辰巳は、日本陸軍出身の河辺虎四郎を長とする河辺機関に所属して、日本における共産勢力の取り締まりを始める。
ウィロビーは、旧日本軍の情報将校を共産勢力の監視のために使い始めたわけである。
その一方、ウィロビーのもとで、戦史の編纂にあたっていたのが、服部らの服部機関であった。
日本の再軍備を主導したのが、服部機関と河辺機関であった。
著者の服部に対する評価は、微妙である。
服部は、ノモンハン事変やガダルカナルで結構、めちゃくちゃなことをやっているからである。
結果として、この本の書き方では、服部機関より河辺機関が主流となって自衛隊の前身である警察予備隊が創設されたらしい。
吉田首相は、服部らをあまり好きではなかったので、辰巳たちの方が有利であったのであろうか。
また、朝鮮戦争が勃発してからは、仁川上陸作戦のために様々な協力をしたらしい。
米軍は、朝鮮半島に関する情報をあまり持っていなかったからである。
そのため、地図の供与や様々な情報の提供といった形で元日本軍人が協力した。
ちなみに、この仁川上陸作戦の際には、海上保安庁に所属する旧海軍の掃海艇が掃海に協力して戦死者が出ていて、そのことも吉田茂の政治決断として記載されている。
この決定にも当然、辰巳が多少なりともかかわっているであろうと思われる。
最後に、吉田首相がしたかったのは、内閣のもとにある情報機関の創設であった。
吉田の構想として、イギリス政府の情報機関が出す情報に基づく政策決定のような政治システムがあったものと思われる。
その結果が、内閣情報室であったが、これは本格的な情報機関になる前に反対にあって、小規模なものにとどまってしまった。
駐英武官を務めた情報畑の一日本軍人が戦後にどのように動いたかを知るうえで、参考になる本かと思う。
読むうえで、出版元が産経新聞出版であるのも考慮しておきたい。

自分の評価
★★★★☆70点

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