ローマ人の物語 (11) 終わりの始まり (2002/12/11) 塩野 七生 商品詳細を見る |
題名も「終わりの始まり」。。。。
アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の文句である「生は死の始まり」と相通じるものを感じる言葉である。
また、憂いを感じさせる言葉でもある。
ともあれ、本巻では、紀元161年から212年までのローマ人の諸行が書かれる。
ギボンのローマ帝国衰亡史もこの頃から始まっている。
一般的に、五賢帝の時代が終わったときにローマ帝国の衰亡が始まったとされているようだ。
先ず、五賢帝の中の五番目の皇帝、マルクス・アウレリウスの治世を書く。
この人は、哲人皇帝と呼ばれる程、ギリシア哲学に傾倒していたらしい。
まあ、当時としても現在としてもかなり評判のよい皇帝である。
我が輩が呼んだかぎりでも、善政を行ったと言ってよいのではないかと思う。
しかし、ナナミンはというと、かなり手厳しい評価を与えている。
ただ、賢帝であったことは否定していない。
我が輩が推測するに、ナナミンが本書を書いた目的の一つは歴代皇帝の再評価ではなかろうかと。
不良少女だったと自認するナナミンは、誰がどう見ても優等生的なマルクス・アウレリウスに対して否定的な評価を与えたくなるのかもしれない(笑)
ローマのカンピドリオ広場にあるマルクス・アウレリウス帝の騎馬像。
次に、マルクス・アウレリウスの子のコモドゥスが皇帝に即位する。
この人は、いわゆるバカ息子であったと。。。。
有名な映画「グラディエーター」は、マルクス・アウレリウスとコモドゥスの治世が舞台となっているらしい。
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グラディエーターでの主人公もモデルとなった人がいて、マルクス・アウレリウスが指揮したゲルマニア戦役で活躍した古代ローマ軍の軍人だそうな。
この映画で、コモドゥスが、剣闘士として戦う場面があり、皇帝がこんなことするかよと我が輩、思っていたのだが、実際に、コモドゥスは、剣闘士まがいのことをやっていたらしい。
そして、バカ息子は、不幸な最期を遂げ、再び内乱の時代が訪れる。
内乱を収めて、帝位に就いたのは、北アフリカ出身の武将、セプティミウス・セヴェルスであった。
この人がブリタニア(現イギリス)で死ぬまでが書かれる。
興味深く読めたのは、冒頭のナナミンの見解。
有名な格言で、「賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶ」という言葉がある。
ナナミンによれば、賢者の側にいたければこの両方ともが不可欠であると。。。
机上で学んだことも、実体験とかみ合わせることではじめて活きた知識になると。。。
なるほどなあと思わせる意見であった。
ともあれ、古代ローマがいかようにして滅びていったかが本巻から書かれる。
どうしても、ポエニ戦争やユリウス・カエサルの時代と較べると、面白さに欠けるが、世の中の万物が盛者必衰であることを考えると読まなければならない巻である。
自分の評価
★★★☆☆55点
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塩野七生「ローマ人の物語12-迷走する帝国」を読破!!
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