タヌキおやじの日々の生活 塩野七生「ローマ人の物語15-ローマ世界の終焉」を読破!!     

塩野七生「ローマ人の物語15-ローマ世界の終焉」を読破!!

野田首相がやばそうである。
文字通り、四面楚歌である。
吾輩も似たような目に合ったことがあるので、後ろ向きになるのもよくわかるが、ここまで来た以上攻め続けて欲しい。

ローマ人の物語 (15) ローマ世界の終焉ローマ人の物語 (15) ローマ世界の終焉
(2006/12)
塩野 七生

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ついに最終巻である。
本巻では、紀元395年から紀元476年までのローマ帝国と紀元476年以降ローマ滅亡直後のローマ世界が書かれる。
第一部が、「最後のローマ人」、第二部が、「ローマ帝国の滅亡」、第三部が、「帝国以後」という構成になっている。
ローマ人の諸行と呼べるのは、第一部「最後のローマ人」までであろう。
それ以降は、完全に蛮族に主導権を握られ、主人公は蛮族となり、西ローマ帝国は消滅する。
そして、第三部「帝国以後」では、西ローマ帝国の遺産がいかにして崩壊していったかを書く。
まあ、付録みたいなものであろうと思う。
しかし、この部には、中東や北アフリカにおいて7世紀以降、急速にイスラム化が進んだ原因が書かれているように感じた。

テオドシウス帝が死去した後は、帝国東部を長男アルカディウスに、西部を次男ホノリウスに受け継がれた。
このことは、西ローマ帝国と東ローマ帝国に分裂したことにつながった。
そして、テオドシウス帝から軍事を任されたのが、後世の史家から「最後のローマ人」と呼ばれた「スティリコ」であった。
この人は、父親がゲルマン人で母親がローマ人の半蛮族(セミ・バルバス)であった。
最後のローマ人と呼ばれることになる人物が半蛮族であったことが、一番最後のローマらしいエピソードであったのではなかろうかと思う。
しかし、この人は、末期症状のどの国においても起こるように足を引っ張られ続けたあげく、策謀にかかって刑死する。
どんな国でも末期になると、一人や二人の人材ではどうにもならないのである。

そして、七転八倒したのち、西ローマ帝国は消滅する。
ときは、西暦476年のことである。
首都ローマが陥落の後に滅びたとかではなく、皇帝になるものがいなくて消滅したと。。。。
ちなみに、東ローマ帝国は、西暦1453年まで生き長らえる。
東ローマ帝国の滅亡をもって、ローマ帝国の滅亡とする人もいるみたいだが、ナナミンは、西ローマ帝国の消滅をもって、ローマ帝国の滅亡とするとしている。
なぜなら、ローマは、都市としてのローマがあってはじめてローマであったのだからと。。。。
しかし、系統としてのローマというならば、東ローマ帝国として残ったわけである。
ここらへんは、人それぞれの取り方の違いであろう。
まあ、ナナミンは、おそらく東ローマ帝国に魅力を感じていなくて書く気になれなかったのもあるかもしれない。
ともあれ、西ローマ帝国の最後であるが、ヴェネチア共和国の最後と類似していると感じた。
長期間にわたって、緊張状態を持続させ、努力を続けた後に、ぷっつりと弛緩状態になって、そのままあっけなく最後を迎えたという感じである。
両方とも、本当に最後はあっけないのである。

そして、帝国以後である。
西ローマ帝国消滅以後、イタリア半島は、パクス・バルバリカという蛮族統治下の平和を迎える。
その下で元老院などの組織も引き続き存続する。
しかし、それらローマ帝国の遺産を消滅させ、イタリア半島を疲弊させたのは、再びローマを回復しようとする東ローマ帝国のユスティニアヌス帝であった。
本来、同胞であるはずの東ローマ帝国軍によってイタリア半島が完膚無きまで疲弊させられたのは皮肉としか言いようがない。
東ローマ帝国は、東方ではササン朝ペルシアと骨肉の争いを演じ、イタリア半島や北アフリカでは圧政を敷いた。
なんとなく雰囲気では、イスラム勢力が台頭する下地というものが感じられたような気がした。
そして、ユスティニアヌス帝の死去とそれ以降の歴史を簡単に書いて「ローマ人の物語」を終わらせている。

ローマ帝国が後世に残した影響について考えてみる。
先ず、ルネサンスは、古代ローマの学問・文化を復興させようとしたものであったと思う。
そして、ルネサンスは、西欧が世界に先駆けて産業革命などを起こして、発展する下地になったと我が輩は思う。
また、ユーロも手本をローマ帝国においていると聞いたことがある。
と、現代西欧文明に多大な影響を与えているわけである。

ともあれ、人間の歴史において、多民族を従えた帝国は数多く現れたが、今現在、敗者を同化させるという習慣を持った民族・帝国はローマ帝国以外に現れていないのである。
ナナミン補正がかなり入っているとは思うものの、普遍性とは何か、統治・政治の技術とは、どういうものかを考えさせられるという意味で非常に面白い読み物であった。

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自分の評価
★★★☆☆65点

前巻の記事
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1巻の記事
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コメント

トラックバックさせてもらいました

「帝国以後」の部分は、その後の著作『ローマ亡き後の地中海世界』『十字軍の物語』への橋渡しのように思えました
蛮族と罵りながら、パクス・バルバリカを評価するところが面白かったですね
  • 2012-08-11 22:32
  • URL
  • クロノクル #-
  • Edit

Re: タイトルなし

どうもクロノクルさん

そうですね、最終巻を読み直して初めて「ローマ亡き後~」への経緯が理解できたような気がします。
> 蛮族と罵りながら、パクス・バルバリカを評価するところが面白かったですね
まあ、東ローマ帝国の支配よりましだったということでしょうね~
オドアケルにしろゴート族にしろ統治にあまり自信がもてなかったのもあるかもしれないです。
  • 2012-08-12 07:58
  • URL
  • tatsunootoshigo #-
  • Edit

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『ローマ人の物語 43 ローマ世界の終焉(下)』 塩野七生

サッカーの三位決定戦は悔しい結果に終わった 香川のいないごった煮の急造メンバーで、期待以上のベストフォーまで行けたのだから上等なのだが、相手が相手だからなあ しかし、三
  • 2012-08-11 22:22
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