タヌキおやじの日々の生活 吉村昭「空白の戦記」を読破!!     

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吉村昭「空白の戦記」を読破!!

尖閣では、中国はエライたくさんの巡視船を送り込んできたようだ。六隻か。
現場の海上保安官のみなさんの苦労と悔しさが察せられる。
もっともトップはトップで別の心労と苦労があるんだろうけどね。

空白の戦記 (新潮文庫 よ 5-9)空白の戦記 (新潮文庫 よ 5-9)
(1981/04)
吉村 昭

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旧日本軍関連の短編集である。
まあ、吉村昭が興味を持ちそうな正史にのらない史実を掘り起こして書き上げた戦争秘録小説集である。

一編目は、「艦首切断」。
吉村昭がよく取り上げる軍艦に関する事件である。
1935年9月26日、第四艦隊による三陸沖での演習中に台風により、駆逐艦「初雪」と「夕霧」が艦首を切断した事件であった。第四艦隊事件と呼ばれる。
電気溶接を使ったことに起因する強度不足が事件の原因であった。
吾輩、このような事件があったということを初めて知った。
戦争が必ず起こるということで、海軍は無理に過重な兵装を載せるために、船体を軽量化すべく、電気溶接を用いたのであった。
注目すべきは、今現在、日本を騒がせているオスプレイと同じく新機軸の技術は、危険と隣り合わせであるという点と、余裕がない設計は危機に弱いという点である。
結局のところ、冗長性や余裕を持たせて設計してあとから不具合を治していく方が頭がよい方法なのではないかと思われる。
アメリカやイギリスなどはそのような方法であったが、日本は、反対に今でも始めから冗長性や余裕がない完全な設計をしがちであるような気がする。
ただ、無駄が少ないという意味では日本のやり方の方がいいのであろうが。。。

二編目が、「顚覆」。
友鶴事件(ともづるじけん)を扱った短編である。
友鶴事件とは、1934年3月12日に起こった千鳥型水雷艇「友鶴」の転覆事故である。
これも、冗長性や余裕のない設計を行った故の事件であった。
この事件では、ごく僅かだが、生存者がいて、その救出劇を書いている。
この救出劇が史実なので非常にリアルである。
ある意味、海猿などよりずっとリアルな海難事件の小説と言える。

三編目が、「逃亡」。
これは、史実をもとにしたフィクションだそうな。
でも、現実に似たようなことはあったであろうと思われる。

四編目が、「最後の特攻機」。
宇垣纏(うがき まとめ)中将が玉音放送後に行った最後の特攻作戦である。
非常に有名な話である。
命を大事に使うべきだというポリシーを持つ吾輩から見ると、意味があるとは思えない特攻を行って戦死者を増やしたのは違和感を感じざるを得ない。

五編目が、「太陽を見たい」。
吉村昭にしては珍しい陸戦の話である。
沖縄戦のときの伊江島における戦いを書いている。
生き残った一人の女性の視点から戦争の凄惨さを描く。
「生きて虜囚の辱めを受けず」と教えられたり、降伏を禁ずるようになったのはいつ頃からだったのであろうか。
戦国時代は、そんなことはなかったし、幕末、戊辰戦争、日露戦争でもそんなことはなかったと思う。
なんにつけても、勝ち方を学ぶのが重要なのは言うまでもないが、負け方を学ぶのも同じぐらい重要なのではないかと思う。

最後、六編目が、「軍艦と少年」。
「戦艦武蔵」と「戦艦武蔵ノート」で出てくる武蔵建造における図工の少年の軌跡を追った小説である。
吉村昭と関係者は、その元少年を不幸な人だと言って終わるのだが、それほど不幸であったか。
あの時代、その人以上に不幸な人は無数にいたように思える。
極論すれば、幸福と不幸が心の状態の相対的なものである以上、今現在であっても、あの時代以上に不幸な人はいるわけである。
なにしろ年間自殺者が三万人の国なのだから。
もっとも、調子がよく見えるお隣の韓国が幸福な国かと言われれば、どうかなと思う。
かの国の自殺率は、日本より高い。
物事には様々な側面があるということである。

ともあれ、人間などは、運命に翻弄される存在でしかないと思わされそうな一冊である。
でも、それだけではなく自助努力が多少は報われると信じたい吾輩であった。

自分の評価
★★★☆☆50点

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