タヌキおやじの日々の生活 藤本正行「信長の戦争― 『信長公記』に見る戦国軍事学」を読破!!     

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藤本正行「信長の戦争― 『信長公記』に見る戦国軍事学」を読破!!

信長の戦争 『信長公記』に見る戦国軍事学 (講談社学術文庫)信長の戦争 『信長公記』に見る戦国軍事学 (講談社学術文庫)
(2003/01/09)
藤本 正行

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これもきわめて良書であったと思う。
当時、信長の家臣であった太田牛一が記した「信長公記」をきわめて信頼性が高い資料とし、その記載に基づいて、信長が行った数々の戦いの虚実について検証を行っていくという内容である。
著者の藤本正行(ふじもと まさゆき)氏は、日本の歴史学者であり、國學院大學兼任講師。専門は日本軍事史・風俗史だそうな。
本書を読んで思ったが、その科学的な検証姿勢は、非常に好感できる。

目次はというと、
はじめに
序章 太田牛一と『信長公記』
第1章 桶狭間合戦―――迂回・奇襲作戦の虚実
第2章 美濃攻め―――墨俣一夜城は実在したか
第3章 姉川合戦―――誰が主力決戦を望んだのか
第4章 長嶋一揆攻め―――合戦のルール
第5章 長篠合戦―――鉄砲”新戦術”への挑戦
第6章 石山本願寺攻め―――「鉄甲船」建造の舞台裏
終章 本能寺の変―――謀叛への底流
という構成になっている。

序章が凄まじく長いのである。
序章で70頁くらいを使っている。
が、この序章が非常に重要な部分である。
というのは、著者による再検証の材料となった「信長公記」について書かれ、その成り立ちや信頼性について書いているからである。
「信長公記」の作者は、太田牛一であり、信長の直属の部下であった。
牛一は、江戸時代初期まで生きるのだが、その執筆姿勢についても検証する。
牛一は、日々のこと、起こった事件について、それぞれ、カード形式、短編の読み物を書いていた。
それらを合わせて、信長公記を書き上げたとのこと。
現在の作家や学者でも、カードをたくさん作ってそれを作業に使用する方はたくさんおられるが、牛一は、そういった方たちの先端を行っていたと。。。
また、「信長公記」には、様々なバージョン(改訂ともいう)があり、それが後の研究者を悩ませているらしい。
というのは、世の中は、豊臣秀吉の世から徳川の世に変わったわけであるが、時の権力者に合わせて、細かな改訂をしているからである。
ただ、全体として、「信長公記」が信頼に足る資料であるということを、序章で述べて、それを土台として、数々の信長の諸行について検証するという構成になっている。

なかでも、興味深く読めたのが、桶狭間合戦と、墨俣一夜城と、長篠合戦と、鉄甲船の記述である。
桶狭間合戦は、桶狭間に本陣を布いていた今川義元を迂回・奇襲したというのが通説になっている。
が、そのときの状況からしてそのようなことは、不可能であると。。。
その時点で、今川軍にほとんどの戦場を支配されていたからである。
そして、迂回・奇襲攻撃をしたという通説が成立した歴史を書き、それが創作であるとする。
そこで、「信長公記」から事実を読み解くと、正面からの強襲であったとする。
ここらへん、現在における日露戦争に関する通説と相通づるところがある。
勝った戦について、それらしい理由をつけてわかり易いストーリーを創作するのは、大衆にとっては受け入れやすいことであるのだ。
しかし、事実は、そんなに単純でスマートなものではなく、意外なことの連続であり、これで勝てたと断言できるような簡単なものではないようだ。
著者の推測によると、信長は、今川軍が疲労した頃を見計らって、攻撃するつもりであったのではないかとする。
もちろん、義元の首級を得ることなど考えもせず、ただ、追い払えばよいくらいの算用であったとする。
が、結果として、実際に強襲で義元を打ち取ることができた理由については謎であるようだ。

墨俣一夜城については、信長公記には、記載がないと。。。。
墨俣一夜城の通説が成立した過程についても検証する。
そして、結論は、本当に墨俣一夜城があったかわからないとしている。

長篠合戦については、三段打ちについて検証している。
このことについては、現在では、否定されており、現実には無理であるとなっていると思う。
長篠合戦の実情は、野戦築城された織田・徳川軍の陣地に武田軍が突撃したのを鉄砲を主力とした兵力で粉砕したと。。。。
要は、武田軍を突撃するしかない状況に追い込んだことが勝利の一因であったことがわかる。

毛利軍が石山本願寺に兵糧を補給するために、派遣した水軍を打ち破るために信長が建造した鉄甲船については、それほど目新しいものではないとする。
というのは、安宅船に鉄を貼っただけで、新規な発想ではないとし、重要なのは、それを可能にした信長の経済力であるとする。
しかし、発明を取り扱う業界にいた吾輩からすると、イノベーションというのは、それまであったものの新しい組み合わせや、それまであった有効なものを大々的に使用することであることであると感じているので、信長の鉄甲船は、十分にイノベーションであるといえると思う。
それまで、だれもやれなかったのであるから。。。。

というふうに、これまでの常識を覆す内容になっており、それは十分に納得のいく資料と理由に裏付けされていると感じた。
戦国時代が好きな人には、ぜひ読んでもらいたい一冊である。

自分の評価
★★★★☆80点

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関東育ちの三十路親父です。
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現在、日本百名城攻略中!!
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