タヌキおやじの日々の生活 前間孝則『悲劇の発動機「誉」―天才設計者中川良一の苦闘』を読破!!     

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前間孝則『悲劇の発動機「誉」―天才設計者中川良一の苦闘』を読破!!

悲劇の発動機「誉」―天才設計者中川良一の苦闘悲劇の発動機「誉」―天才設計者中川良一の苦闘
(2007/07/24)
前間 孝則

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非常にマニアックな一冊である。
誉(ほまれ)という名のエンジンについて書かれた本である。
誉は、中島飛行機と日本海軍航空技術廠発動機部とが技術を結集して開発した二千馬力級の航空機用レシプロエンジンであった。
大戦後期の日本軍偵察機や戦闘機、爆撃機のエンジンとして採用された。
しかし、整備が難しく故障が多かったので、このエンジンを装備した軍用機はなかなか活躍できなかった。
そういうわけで、当時の日本の軍事関係者からは何かと評判の悪いエンジンである。
本書の内容は、けっこう難解で内燃機関の基本を知っていないと、理解できないと思う。
かなり、専門的である。
吾輩は、同じ著者が書いた「ジェットエンジンに憑りつかれた男」を読んでいて面白かったので、本書を読んでみた。
著者の前間氏は、石川島播磨重工でジェットエンジンの開発技術者出身だそうである。
現在は、航空機や発動機やジェットエンジンについての著作をしている。

内容の紹介(カバーより引用)
『太平洋戦争を前にした昭和十六年、中島飛行機の弱冠二十七歳の天才的設計者中川良一の手になる「誉」発動機の試作機が完成した。
試験の結果それは当時世界最高水準の発動機であることが証明された。
海軍はこの発動機に飛びつき、遮二無二生産に向けて突き進む。
ところが、太平洋戦争が始まってみると想定していたハイオクタン価のガソリンが手に入らず、原材料の質的低下、熟練工の軍隊への招集、陸海軍の指示の不手際などで不本意な結果に終わったのである。
ところがH2ロケットの打ち上げ失敗を分析してみると、多くの原因が「誉」の開発、生産過程の中にあったことが判明してきた。』

目次
プロローグ 博物館の鉄の塊
第一章 奇跡のエンジン「誉」
第二章 中島知久平の旗揚げ
第三章 試作から量産へ
第四章 「誉」エンジンの検証
第五章 欧米メーカーの開発体制
第六章 シリンダーとピストン、冷却の盲点
第七章 航空技術廠内の「誉」批判
第八章 悲劇を生んだ根本原因
エピローグ 「欧米に追いつけ」の果てにあるもの
参考文献
あとがき

「誉」エンジンは、試作段階においては、高性能を示し、軍関係者を喜ばせ、過度の期待を持たせる。
しかし、生産段階において、その精巧さを日本の生産技術が追随できず、生産現場や配備された先の人々を苦しめることになる。
また、高オクタンの航空機用ガソリンを使用することを想定して製作されていたために、低オクタンのガソリンしか使えなくなったときに、性能が低下することになった。
そして、「誉」エンジンの失敗の原因について、検証していき、それに対して、イギリスやアメリカではどうであったかを書いている。
海軍の体質、技術マネジメントの失敗、中島飛行機の体質、技術マネジメントの失敗、設計ミスなどである。
しかし、読んで思ったのは、設計者の中川氏は、あまり責められるものではないということだ。
かれは、与えられた条件下で最善を尽くしたと言えると思う。
開発陣があまり生産工程について考慮を入れていないのは、現在の日本においても同じであると感じる。
また、余裕のない設計や職人でしか作れない設計をしてしまうというのも今の日本に共通する。
でも、それは反対にいえば、無駄のない設計ということでもあり、省エネという意味では強みを発揮するのである。
が、戦争においては、あまり省エネ性能は問われないのである。
戦時中の兵器開発で一様に言われるのが、マネジメントの不在である。
なぜ、日本人はマネジメントが苦手なのか???というのは、文化とか教育制度にも掘り下げてみなければならないような深い問題であるような気がする。
政治というのも、一つのマネジメントだし、経営というのもマネジメントの一つである。
「誉」エンジンの失敗がマネジメントの失敗であることはわかったが、日本人がなぜマネジメントが苦手なのかを考え出すと、深みにはまるなあと思った次第。

自分の評価
★★★☆☆60点

参考
ジェットエンジンに取り憑かれた男〈上〉国産ジェット機「橘花」 (講談社プラスアルファ文庫)ジェットエンジンに取り憑かれた男〈上〉国産ジェット機「橘花」 (講談社プラスアルファ文庫)
(2003/03)
前間 孝則

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