タヌキおやじの日々の生活 上白石実「幕末の海防戦略―異国船を隔離せよ」を読破!!     

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上白石実「幕末の海防戦略―異国船を隔離せよ」を読破!!

幕末の海防戦略―異国船を隔離せよ (歴史文化ライブラリー)幕末の海防戦略―異国船を隔離せよ (歴史文化ライブラリー)
(2010/12)
上白石 実

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これもなかなかの良著であった。
幕末、明治維新、戦国時代くらいになると、だいぶ時代もたっているので、日本人も客観的、理性的な検討ができるものとみられる。
はやく太平洋戦争などについても、感情的ではなくて、客観的、理性的な検討ができるようになればよいのにと思う。
幕末は幕末でも、松平定信の時代からペリー来航までの経緯を書く。
幕末物は、ペリー来航が始まりとなるものが多いので、そのような意味で本書は貴重な本かと思う。
吾輩が、小学生、中学生の頃は、幕閣というと、無能の人の集まりで、どうしようもなく、それを長州、薩摩が打倒したという見方をされていたような気がする。
が、最近では、研究も進み、幕府の中枢でも、熟慮をした上で、対外政策を行っていたことがわかっている。
そのような研究の一端を理解することができる一著である。
著者の上白石実氏は、大学の講師、研究者をされている方みたいだ。
吉川弘文館で発刊されているような書物なので、それなりの内容であるのは、はじめから期待できるのだが、読んでみて著者の見識の高さを感じることができた。

内容の紹介(カバー裏面より引用)
『突然のペリー来航は、幕府に衝撃を与えたが、外交交渉には周到な準備をして対応した。
なぜそのような戦略をもちえたか。
様々な異国船への対応を検証し、海禁を維持するために奔走する幕府の姿から海防政策の本質に迫る。』

目次
海防とは何か―プロローグ
ロシアとの交渉と蝦夷地問題
  海禁と沿岸監視
  危機のはじまりと松平定信
  ロシアからの通商要求
  日露関係の修復
打払いから薪水給与へ
  大津浜事件の衝撃
  文政八年の異国船打払令
  天保十三年の薪水給与令
阿部正弘の苦悩
  阿部正弘政権の誕生
  浦賀応接の準備
  嘉永二年の海防強化令
  仁政論と民衆不信の相克
形を変えて続く外国人隔離政策―エピローグ
あとがき
参考文献

興味深かったのは、幕閣が外国船打払い令を出した理由の分析と農兵の成り立ちである。
老中の有名どころをあげると、松平定信、水野忠邦、阿部正弘と続くのであるが(その間にも何人かいるが)、はじめは、薪水給与して説得して立ち退かせる、次に、外国船打払い令、再び、薪水給与説得して立ち退かせるという順番に変遷するのである。
それらの背景には、幕府が、民衆が外国人と接触することを恐れたということがあるようだ。
また、外国船打払い令が出されたことについても、一部、武力を行使する外国船があったこと、実際には、外国船は日本近海に多数、航行していたので、日本の漁民たちは多数、彼らと接触していたということがあるらしい。
古来、為政者が政治をやりやすくするために、民衆に情報を与えないということは当たり前のようにされていたわけであるが、これもその一つであろうと思われる。
情報を公開するのと秘密にするのも、バランスの問題だよなあと思うのである。
去年は、特定秘密情報保護法案でもめたが、あまり秘密を厳密にしすぎると、為政者が己の失敗とか悪事を隠すようにするし、公開しすぎると、外国との交渉や戦争になった場合に、こちらの手の内が明らかになって、結局のところ、国民に不利益になる。
しかし、江戸時代の昔から今に至るまで、日本の為政者と民衆の関係というのは変わっていないということがわかる。
本書によると、幕閣は、愚民をまったく信用していなかったそうだ。
だから、外国人と民衆が交わるのを極度に恐れた。
その一方で、農兵制度を採用して、民衆に外国船に警戒するように呼びかけている。
これは、武士を動員して海岸線に配備するのは、予算がかかるため、海岸付近に住む住民を兵士としたのが始まりらしい。
農兵というと、長州藩の奇兵隊が有名だが、幕末においては、幕府をはじめとして水戸藩など各藩で試みられていたらしい。
鉄砲の出現が、戦争の主役を騎士や傭兵から国民兵にしたというのは、ヨーロッパの歴史の常識だったような気がするが、予算がなかったことが、農兵を出現させたというのは、きわめて日本的であるような気がする。
明治期の屯田兵なども、この思想の延長線上にあるものと思われる。
幕末というと、ペリー来航以降が注目されがちだが、それ以前も十分に面白いと思う。
幕末好きはぜひ読んでほしい一冊である。

自分の評価
★★★★☆75点

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