タヌキおやじの日々の生活 岡部伸「消えたヤルタ密約緊急電―情報士官・小野寺信の孤独な戦い」を読破!!     

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岡部伸「消えたヤルタ密約緊急電―情報士官・小野寺信の孤独な戦い」を読破!!

消えたヤルタ密約緊急電―情報士官・小野寺信の孤独な戦い―(新潮選書)消えたヤルタ密約緊急電―情報士官・小野寺信の孤独な戦い―(新潮選書)
(2013/02/22)
岡部伸

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それほど有名ではないと思うが、小野寺信(おのでら まこと、1897年~1987年)とは、日本陸軍の軍人であり、最終階級は少将であった人である。
北欧や上海でインテリジェンス活動に従事した。
主な業績は、ヤルタ会談での密約であるソ連の対日参戦の情報を入手し、日本の参謀本部に送ったことと、スウェーデン王室を介した終戦工作を行ったことであった。
外務省の杉原千畝と同じく優れたインテリジェンス・オフィサーであったが、杉原と同じく彼が入手した情報は、日本ではあまり活かされなかった。
まあ、日本ではよくある例であるような気がする。

内容の紹介(カバーより引用)
『日本を滅亡から救え
―――小野寺は欧州諜報網をフル稼働させた。
同法の無理解を超えて独ソ戦を予言し、対米参戦の無謀を説き、王室を仲介とする和平工作に砕身した小野寺信。
大戦末期、彼は近代史上最大級の「ヤルタ密約」を掴み、ソ連の日本参戦情報を打電する。
ユダヤ系諜報網から得た正確無比なオノデラ電は、しかし我が国中枢の手で握り潰された。
欧米を震撼させた不世出の情報士官の戦果と無念を完全スクープ!』

目次
第1章 日本が世界地図から消える!?―――ヤルタ密約情報は届いたか
 1 消えたヤルタ密約電報 2 「奥の院」が握りつぶす 3 学者のような情報士官
第2章 和平工作の予行演習―――任地がその運命を決めた
 1 欧州情報の交差点―――リガ時代
 2 対中和平をはかる―――上海時代
第3章 ドイツが最も恐れた男―――同盟国の欺瞞工作を暴く
 1 ただ独り独ソ開戦を予告 2 ポーランド地下情報網が最大の鍵 3 すべてはオノデラの人間的魅力から
第4章 日米開戦は不可なり―――北欧の都からの冷徹な眼
 1 ヒトラーに幻惑されて日米開戦へ 2 鉄壁の情報網完成す
第5章 ヤルタ密約情報来たる―――存亡をかけたインテリジェンス
 1 近代史上最大級の情報 2 新兵器情報―――原爆とジェット機
第6章 間に合った「国体護持」情報―――8月14日にそれは届いた
 1 敗北迫るドイツ、そして終戦工作へ
 2 君主国から皇室へ―――スウェーデン王室は動いた
第7章 対ソ幻想の謎を解く―――天皇の意思を曲解した人々
 1 モスクワへの「密使」 2 初めにソ連仲介論ありき
 3 スターリンのリアリズム 4 国を挙げてのソビエト幻想
 5 かき消された「不都合な真実」
略年表
あとがき
解説 佐藤優

小野寺の欧州での情報源は、おもにエストニア軍参謀本部情報部と、ポーランド軍参謀本部情報部であった。
エストニアもポーランドもドイツやソ連に占領されて、それらの政府は亡命し、その情報部は地下に潜伏したのだが、彼らを白系ロシア人などに偽装させて匿ったのが、日本陸軍であった。
エストニアは、バルト三国のなかでも、アジア系のウラル語族であり、親日的であり、ポーランドは、日露戦争から日本陸軍と情報関係で協力関係にあった。
一見すると、日本は、ドイツと同盟関係にあるので、彼らを匿うのは不利益を被るのではないかと思えるが、その裏には、複雑怪奇な国際情勢があった。
ここらへんは、国際情勢というものの非常に面白いところである。
ポーランドやエストニアの地下情報網と協力できたのは、小野寺の魅力と能力であったと著者は言っている。
でも、参戦するなという情報を無視され、ソ連がドイツ降伏三か月後に参戦するという情報も無視され、スウェーデン王室を介した終戦工作もあまり活用されずと、どうも日本の首脳陣は、有能なインテリジェンスオフィサーを十二分に活用できたとは言い難い。
おもしろいのは、中立国であったスウェーデン、スイス、スペインなどは、枢軸国と連合国間の壮絶なスパイ戦の舞台であったということだ。
スウェーデン、スイス、スペインの公使や武官は、それぞれ、いろんな工作を連合国側に対して行っている。
スペインの日本の公使は、アメリカにスパイを送り込むというようなことも行っていたらしい。
しかし、首脳部がそれらを活用しきったとはいいがたいようだ。
小野寺の工作や情報網は、ドイツの防諜部にとっては、目の上のたんこぶであったようだ。
小野寺にドイツ防諜部、アプヴェールは、何度も警告をしているが、小野寺は、ポーランド軍人のリビコフスキーをかばい続けている。
大戦末期には、ドイツ情報部との協力もあったようだ。
小野寺が入手した連合国のマーケットガーデン作戦の情報をドイツに知らせたりしたらしい。
ドイツは、その情報を活かしたかどうかは定かではないが、マーケットガーデン作戦を失敗に終わらせている。
ここらへんも、亡命ポーランド政府が得た情報を日本が入手して、ドイツに渡したり、亡命ポーランド政府が得た情報をイギリスに渡したりと、国際関係はまことに複雑怪奇である。
連合国側は一枚岩であるようで、微妙に隙間があって、亡命ポーランド政府は、その都合で動いているのである。
どのように欧州において日本がインテリジェンス活動を行ったか知る上で良著であると思われる。  
また、これから日本がどのようにさまざまな情報を得て、将来に役立てていくかということを考える上でも良著であると思われる。

自分の評価
★★★★☆85点

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